事業レポート
2022年3月28日
ドキュメンタリー映画「白い鳥」上映会
一緒にアートを見る先に、何があるのか。
ドキュメンタリー映画『白い鳥』メインビジュアル
【作品情報】
出演:白鳥建二 佐藤麻衣子 ほか
制作:アルプスピクチャーズ
監督:三好大輔 川内有緒
撮影・編集:三好大輔
脚本・構成:川内有緒
音楽:佐藤公哉 権頭真由(3日満月)
アニメーション:森下豊子 森下征治(Ms. Morison)
サウンドデザイン:清水 慧
題字:矢萩多聞
スチール撮影:市川勝弘
制作補助:新谷佐知子
協力:茨城県近代美術館、水戸芸術館現代美術センター、大地の芸術祭 ほか
全盲でありながら、20年以上にわたって美術鑑賞を続けている白鳥建二さん。
目の見える人と見えない人が、一緒に会話をしながら鑑賞する白鳥さんと友人の活動、
そして旅、日常生活を追いながら、一緒にアートを見るという行為の先に、いったい何があるのか、
作品を通して観客も一緒に探っていく時間となりました。
2021年2月に完成した本作品を、10月2日・3日に福岡アジア美術館のあじびホールでスクリーン上映。
本作品には「オリジナル版」のほか「字幕版」「音声ガイド版」があり、今回は日本語字幕版、音声ガイド版の2種類を上映しました。
また、「UDcast(R)」対応作品のため、スマートフォンのアプリを使って観客の皆様の状況に応じて、字幕、音声ガイドを活用いただくことができました。
『白い鳥』上映会後アフタートークの様子
【写真上】左から、進行の蒲池昌江さん(アジア美術館)、白鳥建二さん、川内有緒さん、三好大輔さん
【写真下】左から、白鳥建二さん、川内有緒さん、三好大輔さん
アフタートークでは、白鳥さんと両監督(三好さん、川内さん)の出会い、白鳥さんと川内さんの美術鑑賞の様子、映画撮影の裏話から、アジア美術館で実施した関連企画「白鳥建二さんとあじびで鑑賞会」のお話まで、幅広くお話をいただきました。
【写真左】アフタートークに要約筆記と手話通訳を取り入れている様子
【写真右】アフタートーク会場全体の様子
また、アフタートークには今回、手話通訳と要約筆記を取り入れました。
市民の皆様に様々な情報保障のツールを知っていただく機会になるとともに、障がいの有無に関わらず、多様な人がアクセスしやすい劇場環境について考えるきっかけとなりました。
以下、お客様からいただいた感想の一部をご紹介します。
「自分だったらどんなふうに言葉にできるんだろう。今まで鑑賞しているつもりで本当にしていたのだろうか?など考えさせられる映画でした。」
「白黒、Yes/Noではっきりできない、分からない。そんなふうに過ごしていいんだって気が少し楽になりました。人間はやっぱり楽しいですネ。」
「目の見えている人、見ているもの、考えていることは同じものを見ているようで違うということを、白鳥さんが見ているもの言葉を通して気づかされました。考えれば当たり前のことだけれど、見えているからこそ同じものを見ているという錯覚がおきてるんだと思いました。それは美術鑑賞に限らず見えているからこその思い込みが色々自分の見方を縛っているのではと思いました。白鳥さんの存在が、言葉が心を自由にしてくれるようでした。」
「ひとつの絵を前にして語り合うって楽しそうだと感じた。今度やってみます。アフタートークがとても良かった。白鳥さんが「サービスに期待しない」という言葉にいい意味で共感できた。制作側の方(監督、原作者)もステキだと思った。」
「目が見えない人がどうやって絵を鑑賞するのかというより、アートを通して人と人が通じ合うのを感じた。誰もが肩ひじ張らないで個人として付き合うことができればいいな。」
「今回の映画を観て、目が見えなくても見える人と同じように美術館という空間を、作品を楽しむことができるのだと知ることができました。
全盲になってから一度も美術館に足を運んだことがないので、いつか行ってみようかなと思います。」
関連リンク
・ドキュメンタリー映画『白い鳥』(制作:アルプスピクチャーズ)
■開催日時 2021年10月2日(土)15:00(日本語字幕版)
2021年10月2日(土)18:00(日本語字幕版)★
2021年10月3日(日)10:30(音声ガイド版)★
2021年10月3日(日)15:00(日本語字幕版)
★マークは上映終了後、アフタートークあり。
■会場 福岡アジア美術館あじびホール
■主催等 主催:(公財)福岡市文化芸術振興財団、福岡市
共催:福岡アジア美術館
福岡県社会的課題解決に貢献する文化芸術活動推進費補助金採択事業